大判例

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福岡家庭裁判所小倉支部 昭和46年(家)821号 審判

〔主文〕相手方が申立人の推定相続人であることを廃除する。

〔理由〕一 本件記録添付の各戸籍謄本、不動産登記簿謄本、家庭裁判所調査官作成の調査報告書によれば以下のとおりの事実が認められる。

(1) 相手方は申立人およびその亡夫沢野庄一郎間の長女で申立人の推定相続人である。(なお申立人は相手方を実子ではなく、事情があつて他人の子を実子として出生届出したものであるというが、申立人の陳述以外には確証がないので、本件では戸籍簿の記載どおり相手方を申立人の実子であるとして処理せざるを得ない。)

(2) 申立人所有の財産としては、北九州市○○区○○△丁目○○番○宅地三七、五〇坪および同地上所在木造瓦葺二階建店舗兼居宅一棟があるが、申立人は昭和二四年に右不動産を買い入れて以来、其処で○○業を営み生活を維持しているものである。

(3) 相手方も高校卒業後申立人夫婦の許で家業(○○業)の手伝いをしていたが、その間昭和二八年には山田一男と結婚(但し未届出)、しかし同人が申立人夫婦の気に入らないこともあつて昭和三六年には同人との関係を解消した。その頃から相手方には女一人暮しの寂しさをまぎらすためか、次第に金銭の浪費が目立ちはじめ、家業の手伝いをしてはいるものの別に定まつた給料を貰つている訳ではなかつたので、結局金銭に窮して高利貸から金銭を借りるまでになつた。

その後、高利の支払いに追われるまま次々に銀行や高利貸から借り替えていつたが、借り替えの都度金額がふえ、遂に昭和四三年頃には申立人に無断で申立人の実印、上記不動産の権利証を盗用してこれを担保に提供する程になつた。しかし結局その借入金も支払えず、昭和四五年には上記不動産を債権者に引き渡さねばならない事態に追い込まれたが、申立人が居たのでは引き渡しもできないので、相手方は債権者と謀つて昭和四六年二月申立人を○○旅行に連れ出し、その留守中に上記不動産を債権者に引き渡し、表戸などを釘付けにした。なお相手方は申立人を○○旅行に連れ出した後、申立人の許には帰らず肩書地に別居している。

(4) 申立人は○○旅行に出た旅先で病気になり、約一箇月間○○の病院に入院した後、昭和四六年四月帰つたところ、上記のとおり釘付けされているので自宅にもはいれず、驚いて調査した結果、上記のような相手方の行為が判明した。そこで申立人は上記不動産につき相手方が勝手にした登記の抹消登記手続を求める訴を提起する一方、相手方を福岡地方検察庁小倉支部に告訴した。

二 以上の事実によれば相手方の上記行為は推定相続人廃除の原因である著しい非行に該当すること明らかである。

よつて当裁判所は申立人の本件申立を理由があるものと認め主文のとおり審判する。 (永松昭次郎)

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